アルノルト・ベックリンは1827年にスイスのバーゼルで生まれ、1901年にイタリアのフィエーゾレ近郊で亡くなった。19世紀後半に活動した画家で、神話の人物や見えない不安を、風景の中に実在するかのように描いた。森や海はただの背景ではなく、絵の意味を作る重要な場所になる。
若い頃にデュッセルドルフで学び、ローマなどイタリアの都市にも長く滞在した。初期には《泉のほとりのニンフ》《葦の中のパン》のように、自然の中へ古代神話を静かに重ねた。やがて《ケンタウロスの戦い》では荒々しい動きを、《死がバイオリンを弾く自画像》では死の気配を具体的な姿にした。
1880年に始まる《死の島》は五つの版があり、ここではニューヨークの第二版とベルリンの第三版を区別した。静かな舟と島を見せながら、誰を運ぶかは説明しきらない。《オデュッセウスとカリュプソ》《生の島》でも、風景の形と人物の距離に物語を預けている。
ここでは1855年頃から1898年までの17作品を並べる。明るい祭りや海の遊びから、復讐の女神や疫病の怪物まで題材は幅広い。作品の所蔵館、年、複数の版がある場合の違いも示した。目に見える岩や木、水の描き方を追いながら、そこに重ねられた想像の物語をたどってほしい。
出典:バイエルン州立絵画コレクション 画家紹介(2026-09-27 確認)
作品別の年・版・技法は各所蔵館資料で照合。生年月日は資料間で差があるため生年のみ記載。
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