ギュスターヴ・モローは1826年にパリで生まれ、1898年に同地で亡くなった。古代神話、聖書、伝説を題材にしながら、実際に起きた出来事の説明より、人物が抱える謎や幻視を描いた。若い頃にテオドール・シャセリオーと親しくなり、1857~59年にはイタリアを旅して過去の美術に学んだ。
1864年の《オイディプスとスフィンクス》で注目され、神話の人物を静かな緊張の中に置いた。続く《オルフェウス》や《プロメテウス》では、悲劇の後や長く続く苦難に目を向けた。1870年代にはサロメを繰り返し描き、《ヘロデ王の前で踊るサロメ》と水彩《出現》では、同じ物語の異なる瞬間を取り上げている。
絵の中には、細かな模様、宝石のような色彩、実在しない建築や植物が重なる。ただし全作品が同じ仕上がりではない。《求婚者たち》や《キマイラたち》には未完成の部分が残る。油彩に加えて水彩や素描も数多く制作し、一つの主題を長く考え続けた。細部を眺め、少し離れて全体の構図に戻ると、画面の変化が分かる。
1892年からパリの美術学校で教え、アンリ・マティスやジョルジュ・ルオーらがその教室で学んだ。自宅とアトリエに多くの作品を残し、死後に美術館として公開されることを望んだ。現在のギュスターヴ・モロー美術館は、完成作と制作途中の作品を同じ場所で見られる貴重な手がかりになっている。
ここでは1850年代に着手した《求婚者たち》から1895年の《ユピテルとセメレ》まで、油彩13点と水彩1点を年代順に並べた。《出現》はオルセー美術館所蔵の水彩版で、同題の油彩版とは区別している。《一角獣たち》は制作年が確定しないため、1887年までに確認できるという資料に合わせて表示した。画家用画像には1850年の自画像を使った。
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ギュスターヴ・モロー 〈自作を語る画文集〉夢を集める人
ギュスターヴ・モロー 画・文/藤田尊潮 訳編 / 八坂書房
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