← 作品の一覧

ジャン=シメオン・シャルダンの生涯

1699–1779
ジャン=シメオン・シャルダンは、1699年にパリの職人の家に生まれました。1728年、《赤えい》と《食器棚》を入会作品として、王立絵画彫刻アカデミーへ迎えられます。当時、静物画せいぶつがは歴史画ほど高い地位を与えられていませんでしたが、身近な品々を描くことで評価を得た画家でした。
初期の静物画には、ぬれた魚、毛のある動物、金属、布が入り交じります。同じ絵具から違う手触りが生まれるところが、見る楽しさの一つです。《銅の貯水器》のような小さな絵では、日々使う道具が、静かで大きな存在に見えてきます。
1730年代になると、家事をする人や、遊びに集中する子どもたちを描きました。手を止める女性、コマを見る少年、本を囲む子どもたち。大きな出来事よりも、わずかな姿勢や目線が気になる人物画です。同じ題材を繰り返し描くこともあったため、別の版を比べる楽しみもあります。
《食前の祈り》と《勤勉な母親》は、1740年に対としてルイ15世へ贈られました。暮らしの小さな場面は、王や有力な収集家にも求められました。画家自身も、サロンの作品をどう並べて見せるかという展示の仕事に、長く携わっています。
1750年頃からは、再び静物画へ重心を戻します。野いちごの山、ブリオッシュ、白いマグカップ。初期の大きな台所の絵と見比べると、少ないものの間隔や、色が接するところにも目が向きます。王室の城のために描いた《芸術のアトリビュート》を見ると、静物画が室内を飾る大きな仕事にもなっていたことが分かります。
晩年には、パステルで自画像などの人物像を描きました。1779年、パリで没します。若い頃の器や魚から、最後の時期の眼鏡や手元までたどると、目の前のものを見つめる仕事が続いていたことが分かります。静かな印象の中にも、素材や題材を変えていく歩みがあります。
《鳥風琴》の楽器は、鳥に歌を覚えさせる小さなオルガン。
出典:ナショナル・ギャラリー(ロンドン) シャルダン研究目録 / ルーヴル美術館 シャルダン紹介資料(2026-10-16 確認)
題名の似た作品や複数の版は、所蔵先と目録番号で区別しています。晩年の《イーゼルの前の自画像》の制作年・サロン出品は確定していません。
間違いを見つけたら、教えてください →