オディロン・ルドンは1840年にフランスのボルドーで生まれ、1916年にパリで亡くなった。素描、版画、パステル、油彩を手がけた。文学や音楽に親しみ、作品にも空想上の生き物や神話・物語の人物を繰り返し登場させた。見えるものを正確に写すだけではなく、見た人の心に残るイメージを形にした画家である。
初期には木炭素描と黒いリトグラフを中心に制作し、これらは「ノワール」と呼ばれる。《水の精霊》の浮かぶ顔、《眼は奇妙な気球のように無限へ向かう》の眼、《奇妙な花》の人間の顔を持つ植物など、現実には存在しない形が現れる。黒は単なる暗さではなく、紙の白さや細かな濃淡とともに想像の余地を作った。
1890年代に入るとパステルや油彩による色彩が大きな役割を持つようになる。《閉じた眼》には静かな人物像が現れ、《シーター》では青い背景に横顔が浮かぶ。肖像や花束、船、古代の物語にも取り組み、黒い作品の不思議さを失わずに色の幅を広げた。黒から色へ急に切り替わったと見るより、同じ想像力が異なる材料でどう表れたかを見るとよい。
ここには1878年から1914年頃までの15作品を並べた。木炭素描、リトグラフ、パステル、油彩、ディステンパーを含む。《閉じた眼》はオルセー美術館所蔵の油彩版、《眼は奇妙な気球のように無限へ向かう》は1882年の版画版である。同じ題材を扱う別の版と混同しないよう、制作年と技法を作品ごとに確認した。画家用画像は1867年の自画像である。
出典:クレラー=ミュラー美術館 ルドン展資料(2026-09-27 確認)
制作年・技法・所蔵は作品ごとの所蔵館資料で照合。版の違いと解釈上の留保を明示。
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