ロベルト・カンピンは15世紀前半にトゥルネーで活動した画家である。生年は1370年代後半とされるが、正確な年と生まれた場所は確定していない。1405~1406年頃から記録に現れ、1410年に同市の市民となった。1444年に亡くなった。
油彩による陰影や質感の描き分けが特徴とされる。初期の《洗礼者ヨハネ》では豪華な織物と荒い毛皮が並び、《キリストと聖母》では金地の前に二人の顔を近く描いた。1425年頃の《ふくよかな男性の肖像》では、宗教画の脇役でなく一人の人間を画面の中心に据える。
「フレマールの画家」という呼び名との関係は美術史上の論点である。ロンドンのナショナル・ギャラリーは両者を同一人物とみなすことが多いと記す。一方、フランクフルトの《フレマール祭壇画》三枚を、シュテーデル美術館は一人の手に帰せず、カンピン工房の制作とする。
同じ工房には若いロヒール・ファン・デル・ウェイデンやジャック・ダレもいた。《メロードの祭壇画》をメトロポリタン美術館が「工房作」と記すように、有名な作品でもカンピン本人がどこまで描いたかは一様ではない。作品ページでは所蔵館の帰属表記に合わせて区別した。
晩年に近い《男性の肖像》《女性の肖像》は対として見られる。黒い背景の前で向かい合う二人を比べると、皮膚、布、視線を通じて個人の特徴を表そうとしたことが分かる。名前の分からない人々を描いた作品にも、カンピンとその工房の探求が見える。
《メロードの祭壇画》は所蔵館でカンピン工房の作とされている。
出典:ロンドン・ナショナル・ギャラリー 作家記録 / クリーブランド美術館《洗礼者ヨハネ》 / メトロポリタン美術館《メロードの祭壇画》 / シュテーデル美術館《フレマール祭壇画》 / ティッセン=ボルネミッサ美術館 肖像(2026-09-25 確認)
本人作、帰属、工房作、フレマール派への帰属を所蔵館の現行表記に合わせて区別した。肖像の人物名は確定していない。
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