1482年頃
29〜30歳

東方三博士とうほうさんはかせの礼拝

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
Adorazione dei Magi / ウフィツィ美術館
ふつう絵は、仕上げるときに迷った跡を塗り込めてしまう。この板は途中で手が止まったので、それが残った。輪郭りんかくだけの人物と描き込まれた人物が混ざり、空に置かれた鉛白えんぱくの下塗りとラピスラズリも見えている。ウフィツィ美術館は「下描きの初期段階で執行が宙づりになった」絵だと記す。描き手が考えている途中の画面が、そのまま残った。

何が描かれているか

生まれたばかりのキリストのもとへ、東方の三博士が贈り物を持って訪れた場面。手前でひざまずき、黄金・乳香にゅうこう没薬もつやくささげている。
人の多い構図こうずが半円状に組まれ、その焦点に聖母子せいぼしが置かれる。ウフィツィ美術館は主題を公現祭こうげんさい(聖アウグスティヌスによれば、すべての民がキリストの呼びかけに応える日)として説明する。

作品の見どころ

未完成のまま止まっている。美術館はこの絵を「下描きの初期段階で執行が宙づりになったままの絵」と記す。人物によって進み具合が違い、ほとんど輪郭だけの者もいれば、着想をつかまえるように描き込まれた者もいる。
完成した絵は、迷った跡を塗り込めて隠してしまう。この絵は途中で手が止まったおかげで、どこから描き始め、何を先に決めていたのかが残った。空には鉛白の下塗りとラピスラズリが置かれている。考えている最中の画面が、そのまま見える。

制作背景

1481年7月の文書によれば、フィレンツェの城壁の外にあるサン・ドナート・ア・スコペート聖堂の、主祭壇の板絵として注文された。頼んだのはアウグスティノ会の修道士しゅうどうしたち。仕上げの期限は30か月と決められていた。
同じ年の9月には、まだ描いていた記録がある。ところがその後、彼はフィレンツェを離れ、ミラノの宮廷へ移ってしまう。制作はそこで止まった。

作品情報

寸法
244 × 240 cm
材質・技法
板に木炭素描そびょう・水彩インク・油彩ゆさい(未完成)
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)A35室
目録
Inv. 1890 n. 1594

出典・画像について

画像:レオナルド・ダ・ヴィンチ東方三博士の礼拝》/Justin Benttinen / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
画像の出典 / CC BY-SA 4.0(画像情報:2026-09-09 確認)
Justin Benttinen撮影の2023年画像(CC BY-SA 4.0)。原画像には反射除去・遠近補正・ノイズ除去・ホワイトバランス調整の記載があります。当サイトでは作品外の展示枠と色帯だけを除去して縮小し、加工画像もCC BY-SA 4.0で提供します。文化財画像の扱いは国・地域により異なる場合があります。
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