黒海
画家 イヴァン・アイヴァゾフスキー →Чёрное море (На Чёрном море начинает разыгрываться буря) / トレチャコフ美術館(モスクワ)
灰色の雲の下で黒海が大きくうねり、水平線には小さな船が見える。
何が描かれているか
灰色の雲の下で黒海が大きくうねり、水平線には小さな船が見える。燃える夕日も大勢の人もなく、空と水の二つが画面のほとんどを占める。題名に添えられた説明は「黒海で嵐が起こり始める」という意味である。白い波頭を手前から奥へたどると、静かな海が変わり始める時間を感じる。船の小ささが海の広さを測る目印になる。
作品の見どころ
雲は一色の灰色ではなく、淡い部分と濃い部分がゆっくり重なる。水面も深い青から緑がかった色へ変わり、波の頂だけが白く光る。視線は特定の人物に止まらず、水平線を行き来する。劇的な事件を描かなくても、雲が低く垂れ、水の面が落ち着かないだけで緊張が生まれる。波と雲を比べると、両方が動いているようだ。
制作背景
トレチャコフ美術館は1881年の油彩画と記録し、パーヴェル・トレチャコフが画家から直接購入したと伝える。同館は、華やかな色を抑えて嵐の兆しを描いた点を重視する。画家を批判することもあった同時代の画家クラムスコイが、この絵を高く評価したという記録も残る。初期の《第九の波》と並べると、海の見せ方の違いが分かる。
出典・画像について
画像:Ivan Aivazovsky《黒海》/Wikimedia Commons / Public domain
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
世界史で読み解く西洋絵画
らち まゆみ 著 / SBクリエイティブ
《第九の波》を世界史とのつながりから扱う日本語の美術入門書。アイヴァゾフスキーの単独画集ではありません。
楽天ブックスで見る →