1894年
77歳頃

ボスポラス海峡の月夜

画家 イヴァン・アイヴァゾフスキー →
Лунная ночь на Босфоре / トレチャコフ美術館(モスクワ)
月夜のボスポラス海峡に船が浮かび、岸にはドームと細い塔を持つモスクが見える。

何が描かれているか

月夜のボスポラス海峡に船が浮かび、岸にはドームと細い塔を持つモスクが見える。手前の道には人々の姿もあり、遠い水面では月の光が帯になって揺れる。1846年の明るい《月光のコンスタンティノープル》と比べると、同じ都市を題材にしながら、こちらは建物も人も暗い空気に包まれている。まず月と、その下の水面を見つけたい。

作品の見どころ

モスクの輪郭りんかくは左側の暗がりから立ち上がり、対岸の建物は灰色の遠景に沈む。月から水へ続く光だけが強く、船の黒い影がその光を横切る。人物は小さいが、岸辺から水を眺める姿が夜の都市に生活の気配を加える。波の細部よりも、光のある場所とない場所の差で海峡の奥行きを作った。

制作背景

トレチャコフ美術館は1894年の油彩ゆさい画として所蔵する。同館はオルタキョイ地区のモスクと海峡を描いた作品と説明し、画家が1845年にこの都市を初めて訪れたことを記す。制作はその約半世紀後で、フェオドシヤの工房で旅の記憶をもとに描かれた。実際の夜景をその場で記録した絵と決めつけず、長く残った印象の表現として見たい。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
所蔵
トレチャコフ美術館(モスクワ)
目録
Ж-74

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ivan Aivazovsky《ボスポラス海峡の月夜》/Wikimedia Commons / Public domain
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