1843年
26歳頃

海辺、凪

画家 イヴァン・アイヴァゾフスキー →
Берег моря. Штиль / ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
穏やかな海の向こうに小さな帆船が浮かび、右の岸辺に人々が集まる。

何が描かれているか

穏やかな海の向こうに小さな帆船が浮かび、右の岸辺に人々が集まる。題名の「凪」は風が弱く、波が静まった状態をいう。ここでは船を脅かす嵐ではなく、ほとんど動かない水面と淡い空が主役である。遠くの船から手前の岸へ視線を戻すと、同じ海が旅する人と海辺で暮らす人を結んでいる。

作品の見どころ

低い水平線を境に、空の柔らかな色と海の薄い反射が広がる。右端に人物や岩を寄せたため、中央には大きな余白が残る。波の細かな線より、光の移り方で静けさを伝えている。色の淡い部分をじっと見ると、白一色ではなく桃色や青みが重なる。画面の外まで海が続くように感じられるのは、その余白のためだ。

制作背景

ロシア美術館は1843年の油彩ゆさい画として所蔵し、南イタリアの海岸を思わせる景色と説明する。ただし場所を断定せず、かつての旅の記憶から描いた可能性を示している。画家は1841年に南イタリアを離れており、この絵を現地の同年の写生と考える根拠はない。翌1844年には美術アカデミーの展覧会に出された。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
所蔵
ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
目録
Ж-2207

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ivan Aivazovsky《海辺、凪》/Wikimedia Commons / Public domain
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

世界史で読み解く西洋絵画
らち まゆみ 著 / SBクリエイティブ
《第九の波》を世界史とのつながりから扱う日本語の美術入門書。アイヴァゾフスキーの単独画集ではありません。
楽天ブックスで見る →