高い岩に人々と動物が集まり、その周りを大波がのみ込もうとする。
何が描かれているか
高い岩に人々と動物が集まり、その周りを大波がのみ込もうとする。旧約聖書の洪水を題材にした絵で、海の荒れ方だけでなく、生き延びようとする者たちの姿を描く。中央の岩にしがみつく人々と、画面の端で水に追われる者を順に探すと、同じ災害の中にも異なる運命がある。広い海景が一つの物語の舞台になっている。
作品の見どころ
岩は斜めに突き出し、波と雲がその周囲でぶつかる。白い水しぶきと暗い水面の差が、岩の高さをいっそう際立たせる。人物を一人ずつ見分けるのは難しいが、家族のように固まる群れと、別の場所に取り残された群れが分かる。画家の海景画でよく見る光と水の技法が、ここでは人間と動物を襲う規模の大きさを伝える。
制作背景
ロシア美術館は1864年の作品として所蔵する。同年の美術アカデミー展では《大洪水(最後の日々)》という題で公開された。同館は中央の家族やひざまずく人々、象に乗る人物などを解説する。画面は聖書の出来事を写実的な年代記として再現するものではない。波と空を得意とした画家が、宗教的な主題にその表現を広げた例である。
出典・画像について
画像:Ivan Aivazovsky《大洪水》/Wikimedia Commons / Public domain
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
世界史で読み解く西洋絵画
らち まゆみ 著 / SBクリエイティブ
《第九の波》を世界史とのつながりから扱う日本語の美術入門書。アイヴァゾフスキーの単独画集ではありません。
楽天ブックスで見る →