1850年
33歳頃

第九の波

画家 イヴァン・アイヴァゾフスキー →
Девятый вал / ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
難破した船の木片につかまる人々の前に、大きな波が迫る。

何が描かれているか

難破した船の木片につかまる人々の前に、大きな波が迫る。遠くの空は赤く明るみ、暗い夜が終わりかけている。題名の「第九の波」は、続けて来る波の中でも特に恐ろしいものを指す言い伝えに由来する。人々の小ささだけを見ると絶望的だが、空の光と互いに支え合う姿も画面にある。目を波から人へ戻すと、物語が変わって見える。

作品の見どころ

画面の左下に傾かしいた船の残骸があり、波の緑と朝焼けの橙がぶつかる。波頭は透けるように光り、その向こうの人影が一瞬だけ見える。手前の波と奥の空の明るさが離れているため、人々がまだ危険の中にいることも伝わる。海と空の色の劇的な変化は、現場の一瞬を撮ったものではなく、画家が希望と恐怖を同じ画面に組み立てた表現だ。

制作背景

ロシア美術館は1850年作として所蔵し、アイヴァゾフスキーを代表する作品と位置づける。もとはエルミタージュの収蔵品で、後にロシア美術館へ移った。同館は画家が自然の動きを記憶し、工房で海景画を描いたことも伝える。題名の波の数を科学的な規則と受け取るより、海に挑む人々を語るための昔からの表現として理解したい。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩ゆさい
所蔵
ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
目録
Ж-2202

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ivan Aivazovsky《第九の波》/Wikimedia Commons / Public domain
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