1889年
72歳頃

ノアのアララト山からの下山

画家 イヴァン・アイヴァゾフスキー →
Сошествие Ноя с Арарата / アルメニア国立美術館(エレバン)
洪水を生き延びた人と動物の行列が、光に包まれた山のふもとへ歩み出します。

何が描かれているか

奥にアララト山が大きくそびえ、手前へノアとその家族、動物の行列が進んできます。聖書に語られる大洪水の後、山から下りてくる場面です。遠い山は淡い光の中へ溶け込み、近くの人物は濃い影を落としています。人物の数や動物の種類を細かく追う前に、山の大きさと長く続く列を見比べると、広い風景の中で物語が展開する構成が分かります。

作品の見どころ

行列は画面の奥から手前へ曲がりながら続きます。その道筋をたどると、山と人物の間の距離を感じられます。空の柔らかな明るさ、地面の冷たい青灰色、手前の衣服や影の濃さを比べてみてください。荒波や船を描く海景とは異なる主題ですが、空気と光によって広い空間をまとめる描き方は、アイヴァゾフスキーを知る手掛かりになります。

制作背景

1889年の油彩ゆさいで、現在はエレバンのアルメニア国立美術館に所蔵されています。美術館誌の研究者による記事は、1890年にパリで展示されたことと、その後アルメニア人の学校へ贈られたことを記しています。海の画家としての姿に加えて、アララト山や聖書の物語への関心を伝えます。後期の主題の幅を補う一作です。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
寸法
128 × 218 cm
所蔵
アルメニア国立美術館(エレバン)
位置づけ
聖書の物語とアララト山の風景を重ねた、海景以外の主題を知る作品。

出典・画像について

画像:Ivan Aivazovsky《ノアのアララト山からの下山》/Ivan Aivazovsky / Wikimedia Commons — Public Domain Mark 1.0 (PD-Art)
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / Commons個別ファイル(画像情報:2026-09-30 確認)
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