1872年
36歳頃

ファラオの長子の死

画家 ローレンス・アルマ=タデマ →
The Death of the Pharaoh’s Firstborn Son / アムステルダム国立美術館
華やかな古代の生活だけではなく、暗い室内の悲嘆も。息子を失った王を描く、聖書に基づく作品です。

何が描かれているか

王が椅子に座り、亡くなった子どもの体を膝の上に抱えています。隣の女性は子へ身を寄せ、奥には人々や灯ともりが小さく見えます。室内を飾る柱や模様も、深い暗がりに包まれています。
題材は旧約聖書の『出エジプト記』です。イスラエルの人々を解放させるために起きた災いで、エジプト王の長子が亡くなった場面を描きます。館は右奥の人物をモーセとアロンと説明しています。

作品の見どころ

すぐには見えない奥の人物を探したあと、王の顔へ戻ってみてください。体は大きく正面を向いていても、表情は固く、周囲の動きから切り離されたように感じられます。
暗さは単に夜を示すだけでなく、息子を失った父の悲嘆を伝える働きもあります。柱の装飾や布の色を見つけようと目を凝らす時間が、その重苦しい雰囲気へ見る人を引き込みます。

制作背景

1872年の油彩ゆさい画で、アルマ=タデマが三十代半ばに描きました。後年の明るい大理石や優雅な古代生活とは違う、宗教の物語と人の感情を結びつけた一面を示します。
エジプト風の細部が描き込まれていても、古代の出来事を直接写した記録ではありません。十九世紀の画家が聖書の場面を構成した絵として、装飾の精密さと物語の演出を分けて味わえます。

作品情報

材質・技法
油彩、カンヴァス
所蔵
アムステルダム国立美術館
目録番号
SK-A-2664
位置づけ
エジプトを舞台にした聖書題材。暗さと親の悲嘆を描く歴史画。

出典・画像について

出典:アムステルダム国立美術館/SK-A-2664(2026-10-08 確認)
画像:Lawrence Alma-Tadema《ファラオの長子の死》/ファラオの長子の死 — Lawrence Alma-Tadema / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-10-08 確認)
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