華やかな古代の生活だけではなく、暗い室内の悲嘆も。息子を失った王を描く、聖書に基づく作品です。
何が描かれているか
王が椅子に座り、亡くなった子どもの体を膝の上に抱えています。隣の女性は子へ身を寄せ、奥には人々や灯りが小さく見えます。室内を飾る柱や模様も、深い暗がりに包まれています。
題材は旧約聖書の『出エジプト記』です。イスラエルの人々を解放させるために起きた災いで、エジプト王の長子が亡くなった場面を描きます。館は右奥の人物をモーセとアロンと説明しています。
作品の見どころ
すぐには見えない奥の人物を探したあと、王の顔へ戻ってみてください。体は大きく正面を向いていても、表情は固く、周囲の動きから切り離されたように感じられます。
暗さは単に夜を示すだけでなく、息子を失った父の悲嘆を伝える働きもあります。柱の装飾や布の色を見つけようと目を凝らす時間が、その重苦しい雰囲気へ見る人を引き込みます。
制作背景
1872年の油彩画で、アルマ=タデマが三十代半ばに描きました。後年の明るい大理石や優雅な古代生活とは違う、宗教の物語と人の感情を結びつけた一面を示します。
エジプト風の細部が描き込まれていても、古代の出来事を直接写した記録ではありません。十九世紀の画家が聖書の場面を構成した絵として、装飾の精密さと物語の演出を分けて味わえます。
作品情報
位置づけ
エジプトを舞台にした聖書題材。暗さと親の悲嘆を描く歴史画。
出典・画像について
画像:Lawrence Alma-Tadema《ファラオの長子の死》/ファラオの長子の死 — Lawrence Alma-Tadema / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の複製画像。扱いは国・地域で異なります。
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