何が描かれているか
大天使ガブリエルが深く身をかがめ、玉座に座る聖母へ向かう。聖母は開いた本を膝に置き、驚いて逃げるのではなく、告知を受け入れるように静かに手を動かす。二人の姿勢の違いが会話をつくる。
床のタイルの線は奥へ集まり、天使の足と聖母の玉座を同じ場所に置く。
作品の見どころ
聖母の膝に載る本は、衣の上にできた平らな面で支えられる。天使も軽く浮いているのではなく、地面へ重さをかける。伝統的な金地の宗教画に、実際の身体が空間を占める感じを加えた。
背景には彫られた文字があり、天使、聖母、上の神の間の言葉を結ぶ。文字と身振りを合わせて見ると、告知の前後ではなく、二人が答えを交わす時間が見えてくる。
制作背景
シエナ国立絵画館は1344年の作品とし、もとは市の収入を扱うガベッラの役所のために作られたと説明する。宗教画でありながら、置かれた場所は都市の行政と関わっていた。
同じ主題のシモーネ・マルティーニの《受胎告知》では、聖母が身を引く動きが目立つ。アンブロージョはその次の受容へ焦点を当てる。二つの作品を比べると、一つの物語に異なる瞬間があると分かる。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
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