絵を載せた木そのものが十字形。身体の重さと、長く傷み修復されてきた表面をあわせて見る。
何が描かれているか
十字形の木に、磔にされたキリストが描かれる。頭は片側へ垂れ、閉じた目と伸ばした腕が、身体の重さを感じさせる。腰には白い布が巻かれ、淡い肌に傷から流れる赤が見える。人物と木の形を一緒に見る宗教画である。
背後には金色の装飾が残り、輪郭にも枠の段差がある。形を整えた木の支持体に描いた作品として、上下左右の端まで見たい。
作品の見どころ
腹や腕の付け根の淡い影が、身体のふくらみをつくる。館の解説は、青い一色の十字架に代えて木目を描いた点にも注目する。金の模様と肌の柔らかな陰影を往復すると、装飾と身体の違いがよく見える。
絵具の失われた箇所は、制作時の模様として読むことはできない。残る線と傷んだ面を区別しながら、顔、手、足へ目を移すと、長い時間を経た作品の現在の姿が分かる。
制作背景
シエナ国立絵画館は1328〜1330年頃とし、サン・ニッコロ・アル・カルミネ修道院から来たと記す。技法は木にテンペラと金。掲載画像は、近年の修復後の姿を写した写真である。
館によれば1950年代の修復で古い塗り直しが除かれ、2020〜2023年に再修復された。昔の図版と色や傷みの見え方が違っても、別作品とは限らない。修復を経た面として確認したい。
作品情報
位置づけ
サン・ニッコロ・アル・カルミネ由来の彩色十字架
出典・画像について
画像:Ambrogio Lorenzetti《サン・ニッコロ・アル・カルミネの彩色十字架》/Gleb Simonov / Wikimedia Commons, CC0
撮影者Gleb SimonovがCommonsでCC0を提示した写真。 イタリアの文化財の画像利用規則など、原作品の著作権とは別の扱いがあり得ます。
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