何が描かれているか
壁画の左には「正義」を表す人物が天秤を持ち、その下から綱が市民の列へつながる。右にはシエナの共同体を表す大きな人物が座り、周囲に平和や他の徳を示す姿が並ぶ。実在の会議をそのまま写した場面ではない。
「寓意」とは、考えや価値を人の姿などで表す方法である。ここでは公平さ、協調、力の使い方を別々の人物として見せる。
作品の見どころ
天秤の皿の下では、異なる働きをする天使が示される。片方だけを見て善い政治が成り立つわけではなく、釣り合いが重要である。絵の左から中央、右へ目を動かすと、複数の役割が結びつく。
横たわる「平和」の姿は、戦う力を誇示するのではなく、落ち着いた身体で安定を示す。
制作背景
シエナ市立美術館は1338〜1339年の作品とし、市政の執行を担った「九人委員会」が使う部屋にあると説明する。画家が政治思想を自由に発明したと断定せず、その場で求められた図像と制作の関係を見る。
向かいの壁には悪政、その隣には善政の結果としての街と田園が描かれる。この一面は単独の美徳一覧ではなく、政治の選択が暮らしへどう及ぶかを示す連作の入口になっている。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
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