聖ニコラウスの物語――施しと司教への叙任
画家 アンブロージョ・ロレンツェッティ →L’elemosina di san Nicola; san Nicola ordinato vescovo di Myra / ウフィツィ美術館
壁、窓、階段が物語を分ける。同じ人物が一画面に二度現れる、聖人伝の読み方を知る。
何が描かれているか
上の場面では聖ニコラウスが家へ金を投げ入れる。館の説明では、貧しい父親が娘たちを結婚させるための金を、ひそかに与える伝説である。開かれた室内に横たわる人々が見え、外と内が一度に描かれる。
下ではニコラウスがミュラの司教になる。入口の人物と祭壇前にひざまずく人物は同じ聖人であり、入口から儀式へ進む時間を、一つの画面に重ねている。
作品の見どころ
建物の壁が一部開かれ、見る人は部屋の奥をのぞける。階段、柱、祭壇へ目を動かすと、人物の位置と出来事の順序がつながる。写真のように一瞬を固定した絵とは異なる語り方を味わいたい。
上では寝床と窓、下では高い教会の天井が空間をつくる。小さな人々の姿でも、伸ばした手やひざまずく動作が場面を伝える。板全体で、二つの空間を見比べたい。
制作背景
ウフィツィ美術館は1330〜1335年頃、板にテンペラと金地の作とする。フィレンツェのサン・プロコロ教会に由来し、穀物船と子どもの蘇生を描くもう一枚とともに、聖人の四つの物語を伝える。
元の祭壇画の全体構成は確定していない。館は二枚が左右の部分だった可能性を挙げるが、中央の像を含む完成形は残っていない。描かれた奇跡や選出の場面は、聖人の伝説として読む。
作品情報
位置づけ
聖ニコラウス伝を描く、対となる二枚の板の一枚
出典・画像について
画像:Ambrogio Lorenzetti《聖ニコラウスの物語――施しと司教への叙任》/Ambrogio Lorenzetti / Wikimedia Commons 忠実な平面複製
Commonsの個別PD表示に基づく忠実な平面複製。複製画像の扱いには法域差があります。 ウフィツィの館配布画像には用途別の利用手続きがあり、このCommons別ファイルの条件と分けて確認しています。
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