聖ニコラウスの物語――穀物船と子どもの蘇生
画家 アンブロージョ・ロレンツェッティ →Il miracolo delle navi granarie; san Nicola resuscita un fanciullo / ウフィツィ美術館
港から室内へ、下から上へ。船と階段をたどりながら、二つの奇跡を描いた一枚の板を見る。
何が描かれているか
下の港に司教の聖ニコラウスと船がいる。館の解説では、飢饉のミュラのため船の穀物を分けてもらい、荷が奇跡的に補われる物語である。上の建物では、殺された子どもが聖人の助けで生き返る伝説が描かれる。
この板の物語は下から上へ読む。上段の寝台、階段、その先の人々へ目を移すと、同じ建物の中にも出来事の前後が示されていることが分かる。
作品の見どころ
港では暗い水面を、船の帆や人の衣の明るい色が横切る。岩や建物に囲まれた海から、上段の赤い壁の室内へ移ると、屋外と屋内の空間の違いがはっきりする。
階段は建物の奥へ目を導くが、すべてを一つの正確な遠近法にそろえた図ではない。聖人の身振りや、人々が寝台へ顔を向ける動きを追えば、文字がなくても出来事の中心を探せる。
制作背景
ウフィツィ美術館は1330〜1335年頃のテンペラと金地の板絵とする。もう一枚の施しと司教への叙任の板と対を成す。二枚を見比べると、港、部屋、教会など、物語ごとに異なる舞台が広がる。
館によれば物語は『黄金伝説』という、13世紀に編まれた聖人の伝記集に拠る。実際の港の事件記録ではない。元の祭壇画の形には不明な点があり、残る場面から当初の全体を断定しない。
出典・画像について
画像:Ambrogio Lorenzetti《聖ニコラウスの物語――穀物船と子どもの蘇生》/Ambrogio Lorenzetti / Wikimedia Commons 忠実な平面複製
Commonsの個別PD表示に基づく忠実な平面複製。複製画像の扱いには法域差があります。 ウフィツィの館配布画像には用途別の利用手続きがあり、このCommons別ファイルの条件と分けて確認しています。
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