何が描かれているか
聖母マリアが幼子キリストを老人シメオンへ差し出す。左にはヨセフ、右には女預言者アンナがいて、神殿での儀式を囲む。幼子が指を口へ運ぶしぐさが、厳かな場面の中に子どもの身体を感じさせる。
神殿は古代の建物を復元したものではなく、柱、星模様の天井、窓をもつ教会のように描かれる。
作品の見どころ
床の色石の線が奥へ向かって集まる。厳密な一点透視ではないが、人物の足元から祭壇へ目を導き、空間の深さを感じさせる。人々の衣や装身具の細部と、建物の大きな構えを行き来して見たい。
アンナが持つ巻物や祭壇上の供物は、この儀式の意味を示す。文字を読めなくても、幼子を差し出す手、受け取る手、見守る顔の順で物語を追える。
制作背景
ウフィツィ美術館によれば、下端にアンブロージョの名と1342年を示す銘がある。元はシエナ大聖堂のために作られ、現在は失われた上部と脇の板を持つ三連祭壇画だったと説明される。
同じ聖堂のために作られたシモーネ・マルティーニの《受胎告知》と比べると、金地を使いながら、こちらは建築と床の奥行きを強く試す。二人の画家の違いが、同じ都市の宗教画から見えてくる。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
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