正面を向く母の静けさと、腕の中で動く幼子。初期の聖母子に、身体の重さを確かめる。
何が描かれているか
聖母マリアが玉座に座り、幼子キリストを横向きに抱く。母は正面へ目を向け、子は顔を上げている。赤い布からのぞく手と足が、母の大きな姿の中で小さく動く。金色の背景に、二人の輪郭がはっきり浮かぶ。
これは母子の絵であると同時に、祈りの対象となる聖母子像である。尖った上端や玉座の模様まで見ると、日常の室内を写した絵とは異なることが分かる。
作品の見どころ
抱く手は子の身体を下から支え、もう一方の手は布を押さえる。顔だけでなく手の位置を追うと、子が母の膝に重さを預ける感じが読み取れる。正面を向く母と斜めの子の対照を見たい。
玉座の縁には白と黒の細かな模様があり、赤い衣と暗い外衣の大きな面を引き締める。下端の文字も作品の一部なので、人物だけに目を近づけた後に全体へ戻るとよい。
制作背景
美術館ネットワークは1319年の作とし、フィレンツェ近郊のヴィーコ・ラバーテにあるサンタンジェロ教会から来たと説明する。現在はサン・カシャーノのジュリアーノ・ゲッリ美術館に所蔵される。
大学の銘文目録によれば、下部の二行の文字は制作年と注文主を記す。作者の年齢は確定できないが、この年記は、後のシエナの壁画より前の仕事をたどる確かな手がかりになる。
作品情報
所蔵
ジュリアーノ・ゲッリ美術館(サン・カシャーノ)
出典・画像について
画像:Ambrogio Lorenzetti《ヴィーコ・ラバーテの聖母子》/Ambrogio Lorenzetti / Wikimedia Commons 忠実な平面複製
Commonsの個別PD表示に基づく忠実な平面複製。複製画像の扱いには法域差があります。 イタリアの文化財の画像利用規則など、原作品の著作権とは別の扱いがあり得ます。
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