静かな柱廊の出来事を、楽園追放から続く救済の始まりとして描いた。
何が描かれているか
大天使ガブリエルが柱廊の下でひざまずき、読書を中断した聖母マリアが胸の前で腕を組む。二人の間には細い柱が立ち、上方から鳩と光がマリアへ向かう。
左の庭ではアダムとエバが天使に追われて楽園を出る。下段の小画面には聖母の誕生から死までが並び、中央の受胎告知を長い物語の一場面として補う。
作品の見どころ
柱と床の線が奥の部屋へ視線を運び、ガブリエルとマリアを同じ空間に置く。一方で翼、衣、草花には金と細密な模様が残り、古い祭壇画の輝きと新しい遠近法が共存する。
楽園追放と受胎告知を左右に置いたため、失われた楽園と救済の始まりを一度に見渡せる。人物の大きな身ぶりより、伏せた目と折り畳んだ腕が出来事の静けさをつくる。
制作背景
プラド美術館は1425〜1426年、ポプラ板にテンペラの祭壇画として登録する。フィエーゾレのサン・ドメニコ修道院のために制作され、下段には聖母の物語が連続している。
フラ・アンジェリコはドミニコ会修道士でもあった。宗教の教えを並べるだけでなく、植物、建築、光を細かく描き、見る人が受胎告知の意味を順に考えられる画面にした。
作品情報
位置づけ
受胎告知と人類の堕落を同じ画面に置き、救済の始まりとして結びつけた祭壇画。
出典・画像について
画像:Fra Angelico《受胎告知》/受胎告知 — Fra Angelico / Wikimedia Commons
Public Domain表示の画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
ヌヴィル・ローレ 著/森田 義之 監修/遠藤 ゆかり 訳 / 創元社
初期作品からサン・マルコ修道院のフレスコ画、ローマでの仕事まで、生涯と宗教画をカラー図版でたどる入門書です。
楽天ブックスで見る →