受胎告知(サン・マルコ)
画家 フラ・アンジェリコ →The Annunciation at San Marco / サン・マルコ美術館
簡素な建築と二人の身ぶりだけで、受胎告知を静かな現在にした。
何が描かれているか
大天使ガブリエルと聖母マリアが、白い柱の並ぶ簡素な柱廊で向かい合う。ガブリエルは片膝をついて腕を組み、マリアも低い木の椅子に座って同じように腕を胸へ重ねる。
左には木柵で囲まれた小さな庭と森が見え、柱廊の右奥には扉のない空間が続く。豪華な家具や日用品を置かず、二人の間の空気と光を広く残している。
作品の見どころ
柱、アーチ、床の線が奥行きを整えるが、建築は二人を圧迫しない。ガブリエルの翼の色とマリアの青い衣だけが強く、視線は装飾より二人の似た身ぶりへ戻る。
言葉を巻物や金文字で示さず、お辞儀と沈黙から出来事を伝える。左の庭は閉ざされた聖母の純潔を思わせ、現実の修道院建築と絵の柱廊が連続して見える。
制作背景
壁画はサン・マルコ修道院の階段を上がった正面にあり、1438〜1445年頃の制作とされる。修道士は個室へ向かうたびにこの画面を通り、受胎告知を思い返した。
修道院はコジモ・デ・メディチの支援を受け、ミケロッツォの設計で1437〜1443年に再建された。アンジェリコの建築表現は、その新しい場所と祈りの動線に合わせて考えられている。
作品情報
位置づけ
修道院の階段上に置かれ、通る修道士が受胎告知を前に黙想するよう設計された壁画。
出典・画像について
画像:Fra Angelico《受胎告知(サン・マルコ)》/受胎告知(サン・マルコ) — Fra Angelico / Wikimedia Commons
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この画家について本で読む
フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
ヌヴィル・ローレ 著/森田 義之 監修/遠藤 ゆかり 訳 / 創元社
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