金の背景に重なる悲しみと兵士。初期の小さな板絵から画家を知る。
何が描かれているか
金の背景の前に十字架のキリストが高く立ち、その下へ人々が集まる。手前では青い服の聖母マリアが倒れ、女性たちが体を支えている。右には立った人物、後ろには馬に乗る兵士が並ぶ。空には天使も飛ぶ。金地は遠くまで続く風景を描く背景とは違うが、重なる人と馬の体は、手前から奥への距離を感じさせる。悲しむ人と周囲の人の身ぶりを見比べたい。
作品の見どころ
十字架の長い縦線と、手前で横に傾く聖母の体が、違う方向の動きを作る。兵士たちは弧を描くように並び、その内側に明るい肌と青い服が集まる。金の面を一色と考えず、細かな線や模様、光を受ける違いにも目を向けたい。後年の修道院壁画の大きく単純な人物と比べると、この板絵では小さな画面に多くの体や装飾が重なっていることが分かる。
制作背景
所蔵番号43.98.5、木板のテンペラ画。Metは1420〜1423年頃とし、私的な祈りに用いた可能性を示す。一方、2025年の展覧会資料は1418〜1420年頃とし、英語版は共同制作者も記載する。初期作という位置は共通するが、年や全てを本人が描いたことを確定はできない。
出典・画像について
画像:Fra Angelico(年代・共同制作者の留保は本文)《キリストの磔刑(メトロポリタン美術館)》/The Metropolitan Museum of Art
所蔵館の個別PD画像をCC0で配布。取得JPEGは無変更。作品内の切抜き・色補正なし。
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この画家について本で読む
フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
ヌヴィル・ローレ 著/森田 義之 監修/遠藤 ゆかり 訳 / 創元社
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