一つの身体を受け止める多くの手から、悲しみが群像全体へ広がる。
何が描かれているか
十字架から降ろされたキリストの身体を、はしごに上がった人々と地上の弟子たちが布ごと受け止める。聖母は左で支えられ、右では女性たちが釘や茨の冠を見つめる。
中央の丘は低く、左右の遠景にはフィレンツェを思わせる都市と、険しい山や城が広がる。人物ごとに赤、青、緑、桃色を分け、人数の多い群像を読みやすくしている。
作品の見どころ
キリストの白い身体を斜めに下ろす動きが、十字架の上から地面までを一本につなぐ。支える腕、受け取る手、触れようとする手が連続し、重さと悲しみを同時に伝える。
左右の人物は同じ反応を繰り返さない。顔を覆う人、祈る人、道具を示す人を描き分け、悲しみを一つの表情にまとめず、集団の中に異なる時間をつくった。
制作背景
サン・マルコ美術館が所蔵する大きな祭壇画で、1432〜1434年頃に完成したとされる。フィレンツェのサンタ・トリニタ聖堂ストロッツィ家礼拝堂のために計画された作品である。
額の尖った形と群像の配置には先行する構想が関わるが、現在見える中心場面はアンジェリコの空間と色によって統一されている。制作分担の細部を本人一人の仕事とは断定しない。
作品情報
位置づけ
キリストの身体を受け渡す中央の動作と、左右に分かれる哀悼者の反応を一つの大画面にまとめた。
出典・画像について
画像:Fra Angelico《十字架降下》/十字架降下 — Fra Angelico / Wikimedia Commons
Public Domain表示の画像です。扱いは国・地域によって異なります。
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