1438〜1445年頃
40代前半頃

我に触れるな

画家 フラ・アンジェリコ
Noli me tangere / サン・マルコ美術館
復活後の距離を、近づくマリアと身を引くキリストの動きで示した。

何が描かれているか

復活したキリストが白い衣をまとい、園丁のように鍬を持って立つ。マグダラのマリアは赤い衣でひざまずき、触れようと両手を伸ばすが、キリストは身を引いて応える。
二人の間には細い空間が残り、背後の洞窟が空の墓を示す。地面には小さな赤や白の花が点々と咲き、柵と木々が静かな庭を囲んでいる。

作品の見どころ

近づくマリアと離れるキリストを、腕と足の逆向きの動きで表した。手は近いのに触れず、そのわずかな距離が「我に触れるな」という場面の中心になる。
花は飾りではなく、復活後の新しい生命を感じさせる。大きな奇跡の光を描かず、朝の庭、白い衣、二人の視線だけで、驚きと理解の遅れを静かに見せる。

制作背景

本作はサン・マルコ修道院しゅうどういんの第1房に描かれたフレスコで、修道院の改築後、1438〜1445年頃の壁画群に属する。各房の絵は修道士しゅうどうしが祈り、聖書の場面を黙想するために使われた。
約50点に及ぶ壁画群には工房の協力が含まれる。本作を含む各画面の筆を細部まで本人一人に割り当てるより、アンジェリコが組織した修道院全体の計画として見る必要がある。

作品情報

材質・技法
フレスコ
所蔵
サン・マルコ美術館
位置づけ
修道士の個室に描かれた壁画。復活後の出会いを、静かな庭と二人だけの身ぶりに絞った。

出典・画像について

出典:サン・マルコ美術館 公式案内2026-09-22 確認)
画像:Fra Angelico我に触れるな》/我に触れるな — Fra Angelico / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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この画家について本で読む

フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
ヌヴィル・ローレ 著/森田 義之 監修/遠藤 ゆかり 訳 / 創元社
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