1425年頃
30歳前後

謙譲の聖母

画家 フラ・アンジェリコ
The Virgin of Humility / ティッセン=ボルネミッサ・コレクション(MNAC寄託)
低く座る聖母子せいぼしの親密さを、金地と花と音楽が聖なる像へ高める。

何が描かれているか

聖母マリアが高い玉座ではなく低い座に腰を下ろし、ひざの上で幼子おさなごキリストを抱く。幼子は白い百合を差し出し、聖母の手元には百合と三本の薔薇を入れた花器がある。
三人の天使が金と黒の布を背後へ掲げ、下方の小さな天使たちは楽器を奏でる。金地の前に赤、青、白、黒を重ね、母子の視線が中央で結ばれる。

作品の見どころ

「謙譲の聖母」は、玉座に座る女王ではなく、地面に近い位置へ座る聖母の型である。低い姿勢の親しさと、金地や豪華な布が示す神聖さを一つの像に重ねている。
百合は聖母の純潔を示し、薔薇と色の組み合わせは幼子の将来の受難も思わせる。細い輪郭りんかくと金の模様を追うと、写本装飾に通じる手仕事の精密さが分かる。

制作背景

ティッセン=ボルネミッサ美術館は現在1425年頃、板にテンペラの作品とする。以前は1430年代とされたが、文字の型や同時期の作品との比較から、より早い年代へ見直された。
作品はティッセン=ボルネミッサ・コレクションに属し、バルセロナのMNACへ寄託されている。近年の技術調査では下描きや金箔の技法も調べられ、制作過程の修正が確認された。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
ティッセン=ボルネミッサ・コレクション(MNAC寄託)
位置づけ
玉座ではなく低い場所に座る聖母を、花と音楽を奏でる天使で囲んだ私的礼拝用の像。

出典・画像について

画像:Fra Angelico謙譲の聖母》/謙譲の聖母 — Fra Angelico / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
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