謙譲の聖母
画家 フラ・アンジェリコ →The Virgin of Humility / ティッセン=ボルネミッサ・コレクション(MNAC寄託)
低く座る聖母子の親密さを、金地と花と音楽が聖なる像へ高める。
何が描かれているか
聖母マリアが高い玉座ではなく低い座に腰を下ろし、ひざの上で幼子キリストを抱く。幼子は白い百合を差し出し、聖母の手元には百合と三本の薔薇を入れた花器がある。
三人の天使が金と黒の布を背後へ掲げ、下方の小さな天使たちは楽器を奏でる。金地の前に赤、青、白、黒を重ね、母子の視線が中央で結ばれる。
作品の見どころ
「謙譲の聖母」は、玉座に座る女王ではなく、地面に近い位置へ座る聖母の型である。低い姿勢の親しさと、金地や豪華な布が示す神聖さを一つの像に重ねている。
百合は聖母の純潔を示し、薔薇と色の組み合わせは幼子の将来の受難も思わせる。細い輪郭と金の模様を追うと、写本装飾に通じる手仕事の精密さが分かる。
制作背景
ティッセン=ボルネミッサ美術館は現在1425年頃、板にテンペラの作品とする。以前は1430年代とされたが、文字の型や同時期の作品との比較から、より早い年代へ見直された。
作品はティッセン=ボルネミッサ・コレクションに属し、バルセロナのMNACへ寄託されている。近年の技術調査では下描きや金箔の技法も調べられ、制作過程の修正が確認された。
作品情報
所蔵
ティッセン=ボルネミッサ・コレクション(MNAC寄託)
位置づけ
玉座ではなく低い場所に座る聖母を、花と音楽を奏でる天使で囲んだ私的礼拝用の像。
出典・画像について
画像:Fra Angelico《謙譲の聖母》/謙譲の聖母 — Fra Angelico / Wikimedia Commons
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この画家について本で読む
フラ・アンジェリコ 天使が描いた「光の絵画」
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