三本の十字架を描くアントウェルペンの作品に対し、こちらは中央のキリストと足元の二人へ目を集めます。
何が描かれているか
高い十字架にキリストが掛かり、その下で聖母が跪き、聖ヨハネが上を見ています。遠くには水辺と丘、町並みが広がります。空を背にした細い体と、地面に近い二人。人物のいる高さを大きく離すことで、見上げる距離が強く感じられます。
作品の見どころ
聖母は両手を膝に置き、体を低くしています。対して聖ヨハネは、手を広げてキリストを仰ぎます。同じ出来事に向き合う、二つの身振りです。アントウェルペンの《磔刑》と比べると、左右の罪人がいないことで、中央の体と足元の反応がよりはっきり見えます。
制作背景
1884年に館へ入った時は上部がアーチ形でしたが、付加部分を除き、欠けた隅を補って長方形へ戻されました。現在下部にある署名・年記の紙片も、元は板の裏側にあったものです。今見える配置のすべてが、制作当初のままとは限らないことを教えてくれます。
出典・画像について
画像:Antonello da Messina《磔刑のキリスト(ロンドン)》/磔刑のキリスト(ロンドン) — Antonello da Messina / Wikimedia Commons / 忠実な二次元複製 / Public Domain Mark 1.0
配布画像の全景を保持。作品内容の切り取り・色補正・拡大補間なし。
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