女性たちの集まる水浴の場に、物語の不穏さを置く。
何が描かれているか
旧約聖書のバト・シェバが水浴をし、侍女たちが周囲で世話をする。遠くにダビデ王の姿があり、この後に王が彼女を呼び寄せる物語を予感させる。画面の中心にいる女性たちは、互いに近い距離で布や器に触れる。鑑賞者は明るい前景へ引き寄せられるが、離れた場所にいる王の存在を見つけると、穏やかな水浴だけではない場面だと分かる。
作品の見どころ
人の肌と明るい布、建物や遠景の広がりが一つの絵に収まる。人物の身振りを追うと、顔だけではなく手の動きが場面をつないでいる。大きな画面で、体と周囲の空間がどう描き分けられたかを見るのも面白い。女性を描いた部分と建築・風景の部分の表現差は、当時の絵画制作で分担があったことを考える手がかりにもなる。
制作背景
コロンバス美術館はナポリ時代の重要作として紹介する。制作は1636~1637年頃。建築や風景にはヴィヴィアーノ・コダッツィ、ドメニコ・ガルジューロが関わったとされ、アルテミジアの単独制作と書くべきではない。画家が他の専門家と協力し、大きな注文に応えた姿も、この絵の大切な歴史である。
出典・画像について
画像:Artemisia Gentileschi, Viviano Codazzi, Domenico Gargiulo《バト・シェバ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程の法域による扱いには差があり得る。
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アルテミジア・ジェンティレスキ 女性画家が生きたナポリ
川合真木子 著 / 晃洋書房
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