1615~1617年頃
23歳頃

アレクサンドリアの聖カタリナに扮した自画像

画家 アルテミジア・ジェンティレスキ →
Self-Portrait as Saint Catherine of Alexandria / ロンドン・ナショナル・ギャラリー
自分の姿を聖カタリナに重ねた、画家の自画像。

何が描かれているか

アルテミジアが自分自身の顔を使い、殉教者として知られる聖カタリナを表した。頭には布を巻き、胸元に棕櫚の葉を寄せる。横にある釘付きの壊れた車輪は、カタリナの物語を示す印である。まっすぐ前だけを見つめるのではなく、少し顔を向けた姿には、見る人と距離を置いた落ち着きがある。自画像と聖人像の二つの役割が、一枚の絵に重なる。

作品の見どころ

顔を照らす光は柔らかいが、背後は暗い。布の白、衣の赤、車輪の金属がそれぞれ違う質感を持つ。棕櫚の細い線から壊れた車輪の鋭い輪郭りんかくへ視線を移すと、静かな表情の周囲に殉教の物語が置かれていることに気づく。実在の画家の顔を借りても、聖カタリナを演じた姿として見せる工夫がある。人物を単純な勝利者にも被害者にもしていない。

制作背景

所蔵するナショナル・ギャラリーは制作を1615~1617年頃とし、2018年に収蔵した。顔立ちや姿勢は、同時期の《リュート奏者に扮した自画像》とも関係がある。聖人を選んだ理由や注文の事情は分かっていない。画家の過去の体験を直接描いたと決めず、フィレンツェで自分の画技を示した肖像としても受け止めたい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ロンドン・ナショナル・ギャラリー(NG6671)

出典・画像について

画像:Artemisia Gentileschi《アレクサンドリアの聖カタリナに扮した自画像》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-09-26 確認)
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程の法域による扱いには差があり得る。
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