王の前で倒れかかるエステルを、大きな舞台のように描く。
何が描かれているか
エステルは、自分の民が危機にあることを王アハシュエロスへ訴えるため、呼ばれずに王の前へ進む。宮廷の決まりを破る危険な行動だった。絵では彼女が気を失いかけ、二人の侍女が支える。王は玉座から立ち上がるように身を寄せ、結果はまだ決まっていない。旧約聖書の物語の中でも、願いが受け入れられる前の不安定な瞬間を選んでいる。
作品の見どころ
左のエステルと右の王の間には広い床がある。人がいない空間を挟むことで、互いの立場の距離が見える。侍女たちの支える腕、エステルの倒れる体、王の伸ばす脚が、視線を画面の両側へ運ぶ。豪華な衣服や建物は舞台のようだが、人物の動きは切実である。メトロポリタン美術館は、当時の演劇も画家の表現に関係したと説明する。
制作背景
所蔵館は制作を「1620年代」としており、年をさらに狭く決めない。現在の画面には、王のそばにいた別の人物と犬が画家自身によって描き消された痕跡が、調査で見つかっている。最初の構想と完成した姿が違うと知ると、物語の中心をより明確にするための選択が見えてくる。収蔵番号は69.281。
出典・画像について
画像:Artemisia Gentileschi《エステルとアハシュエロス》/The Metropolitan Museum of Art / CC0
CC0画像。
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