二人の女性が敵将へ立ち向かう、ユディト物語の激しい場面。
何が描かれているか
ユディトは故郷を脅かす敵将ホロフェルネスを倒すため、その天幕に入った。彼が眠ったところで剣を取り、侍女と力を合わせる。画面ではユディトが剣を振るい、侍女が男の体を押さえる。血や抵抗する手も描かれ、出来事の激しさは隠されない。ユディトは一人で立つ英雄像ではなく、もう一人の女性と協力して行動する人物として示されている。
作品の見どころ
暗い背景から三人の顔、腕、白い布が強く浮かぶ。女性たちの腕は別々の方向から男へ向かい、画面の中央で動きが重なる。剣の線と寝具の斜めのしわも、場面に勢いを与える。恐ろしい主題だからこそ、誰がどの動きをしているかを追うと構図が分かる。後に描いたウフィツィ版と比べると、同じ物語でも色や衣服、人物の位置に違いが見える。
制作背景
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの展覧会資料は、ナポリのカポディモンテ美術館にあるこの版を1612~1613年頃とする。画家の人生に起きた暴力だけでこの表現を説明することは避けたい。ユディトは同時代の画家にも好まれた主題であり、アルテミジアは人物の力の掛かり方と劇的な明暗を使って描いた。作品を後年のウフィツィ版と区別して眺めたい。
出典・画像について
画像:Artemisia Gentileschi《ホロフェルネスの首を斬るユディト(ナポリ版)》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程の法域による扱いには差があり得る。
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アルテミジア・ジェンティレスキ 女性画家が生きたナポリ
川合真木子 著 / 晃洋書房
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