1627年頃
34歳頃

ルクレティア

画家 アルテミジア・ジェンティレスキ →
Lucretia / J・ポール・ゲティ美術館
ローマの伝説の女性を、決断の直前に描く。

何が描かれているか

古代ローマの伝説に登場するルクレティアが短剣を手にしている。王の息子から性暴力を受けた後、彼女は自死を選んだと語られる。絵は出来事の結果より、決断を迫られた一瞬へ目を向ける。彼女は顔を上げ、胸元へ刃を近づける。物語の結末を知っていても、表情や体のねじれから迷いと緊張が伝わり、単なる勇敢な英雄像とは違う。

作品の見どころ

白い布と肌は、暗い背景の中で大きく明るむ。手の短剣は細い線で、顔の向きとは逆に体の中心へ向かう。布の渦うず巻くような動きも、静止した人物に強い感情を与える。まず短剣を持つ手を見てから、目線と肩の向きを追うと、画家が出来事の「前」を選んだ意味が分かる。古代の物語を、目の前にいる一人の人の切迫した時間に変えている。

制作背景

ゲティ美術館は1627年頃の作とし、ヴェネツィア滞在との関係を研究している。17世紀に詠まれたアルテミジアの《ルクレティア》への詩と同一作品である可能性は高いが、確定ではない。画家の体験を作品へ直結させず、当時の注文、物語、ヴェネツィア絵画の影響をあわせて考える。所蔵番号は2021.14。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
J・ポール・ゲティ美術館(2021.14)

出典・画像について

出典:J・ポール・ゲティ美術館 作品記録(2026-09-26 確認)
画像:Artemisia Gentileschi《ルクレティア》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0(画像情報:2026-09-26 確認)
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程の法域による扱いには差があり得る。
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