華やかな衣服をまといながら、鏡から離れるマリア。
何が描かれているか
マグダラのマリアが黄色い絹の衣を着て、胸に手を当てる。近くには鏡が置かれ、ウフィツィ美術館によれば、そこには「よりよい方を選んだ」という意味のラテン語が記されている。鏡は外見に心を奪われることを示す道具として使われ、マリアはそこから身を離す。宗教的な心の変化を、祈る姿だけでなく、物に触れたり向きを変えたりする行動で示している。
作品の見どころ
黄の絹は暗い背景で大きく輝き、布の厚みとしわが目を引く。顔の向き、胸元の手、鏡の位置を順に追うと、彼女の心がどこへ向かうかが分かる。光の当たる肌と暗い室内の差は大きいが、人物の表情は激しさ一色ではない。見えるものを手がかりに、今この瞬間の迷いと決意を想像できる。華やかな衣と信仰への転換が一枚の中で向き合う。
制作背景
所蔵するウフィツィ美術館は1620年頃とし、ピッティ宮殿のパラティーナ美術館に展示される作品と記録する。聖人の伝承と絵の中の女性の身振りを結び付け、宗教画に心理の動きを与えた。後年の《法悦のマグダラのマリア》では鏡などの物をなくし、顔と体の反応に集中する。二作品を比べると、同じ聖人を異なる形で描いたことが分かる。
作品情報
所蔵
ピッティ宮殿パラティーナ美術館(1914 n. 142)
出典・画像について
画像:Artemisia Gentileschi《マグダラのマリア》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程の法域による扱いには差があり得る。
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