1664年頃
31〜32歳

天秤を持つ女

画家 ヨハネス・フェルメール
Woman Holding a Balance / ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
壁いっぱいに最後の審判の絵が掛かっている。その額の下辺が、秤のある側だけわずかに上がっている。館はこれを、天秤の居場所を作るための操作だと見る。皿が暗い額に重ならず、漆喰の壁を背にするように、絵の中の絵の方をずらしたのである。つり合いを見せるために、部屋の側を歪めたことになる。量っているものは、いまも決まっていない。

何が描かれているか

部屋の隅に女が立っている。頭に白い麻の布をかぶり、白い毛皮で縁どった青い上着を着ている。右手に小さな天秤を持ち、腕を軽く上げている。
天秤の皿には何も載っていない。館によれば、竿はつり合っている。もう一方の手は卓の縁に置かれ、女は目を伏せている。

作品の見どころ

裁くことは、量ることである。館はそう書いて、女と背後の最後の審判を結びつけている。ロヨラの霊操には、祈りに入る前にまず自分の良心を調べ、審判の日を前にしたつもりで自分の罪を量れ、という教えがある。館は、この絵の場面をそこに近いものとして読む。
女は、卓の上の金や真珠と、壁の絵が示す行いの果てとのあいだに立っている。館の読みでは、この絵は控えめに、ほどよく生きよと言っている。何を量っているのかは、描かれていない。

制作背景

天秤を持つ手は、額の暗い隅のちょうど前にある。秤そのものは、何も塗っていない漆喰の壁を背にしている。館はこれを、フェルメールが空間をわずかに操って作った効果だと見ている。
その証拠として館が挙げるのが、額の下辺である。秤のある側では、女の背中の側より、わずかに高い。天秤を置く場所を作るために、絵の中の絵の方を動かしたことになる。

作品情報

寸法
39.7 × 35.5 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)
目録
1942.9.97
ほか
ワイドナー・コレクション

出典・画像について

画像:ヨハネス・フェルメール天秤を持つ女》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-03 確認)
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