1470–1475年頃
17〜23歳

キリストの洗礼

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
Battesimo di Cristo / ウフィツィ美術館
「レオナルドは左の天使だけを描いた」。16世紀の歴史家ヴァザーリがそう書いて以来、長く語られてきた話である。ウフィツィ美術館はこれを、あくまでヴァザーリの記述として紹介する。今日の研究はもっと広く見ていて、館によれば彼の手が入ったのは左の天使だけでなく、川辺の風景と、絵の中心にいるキリストの体にも及ぶ。

何が描かれているか

ヨルダン川の岸辺で、イエスが洗礼者せんれいしゃヨハネから水を注がれている。ヨハネは細い十字架と巻物を持ち、巻物には「ECCE AGNUS DEI」(見よ、神の小羊)と記されている。これから来る救い主を人々に告げる言葉だ。
左手前に2人の天使がひざまずき、右側の1人がイエスの脱いだ衣を抱えている。

作品の見どころ

「レオナルドは左の天使だけを描いた」と長く語られてきた。16世紀のヴァザーリは、その天使があまりに見事で師ヴェロッキオが不快になった、と記す。ただしウフィツィ美術館は、これをヴァザーリの逸話いつわとして紹介している。
今日の研究は、もっと広く見ている。美術館によれば、レオナルドの手が入ったのは左の天使/金色の光が降りていく川辺の風景/そしてキリストの体である。つまり、絵の中心にいる人物までレオナルドが描いたことになる。有名な逸話の方が、むしろ控えめだった。

制作背景

20歳前後、まだアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房にいた頃の共同制作である。作者の表示も、師と弟子の連名になっている。ウフィツィ美術館は、当時の工房では親方が絵を構想し、二次的な部分の制作を弟子や協力者に委ねるのが通例だった、と説明している。
美術館は、父なる神の両手と聖霊せいれいはとには、さらに年長の画家が加わった可能性も示す。左の天使やキリストを含む部分との描き方の違いから、複数の手が重なる工房制作だったことが見えてくる。

作品情報

寸法
177 × 151 cm
材質・技法
板にテンペラと油彩ゆさい
所蔵
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)A35室
目録
Inv. 1890 n. 8358

出典・画像について

出典:ウフィツィ美術館 作品ページ2026-09-05 確認)
画像:レオナルド・ダ・ヴィンチキリストの洗礼》/作品: レオナルド・ダ・ヴィンチ/画像出典: Wikimedia Commons(sourceUrl参照)
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-03 確認)
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