馬に乗る人々の横長の行列が、物語の多様な声を見せる。
何が描かれているか
多くの人々が馬に乗り、横に長い列となって進んでいる。服、帽子、顔の向き、馬の姿勢は一人ずつ違い、同じ旅でも全員が同じ行動を取るわけではない。背景には建物や木々が置かれ、頭上には雲と鳥が広がる。大きな事件の瞬間より、旅へ向かう人々の集まりそのものが、画面の主役になっている。
作品の見どころ
まず列を端から端へたどり、そのあと隣り合う二人の姿を比べてみたい。騎乗する体の向きや手の仕草が違うため、人間関係を想像する手がかりが見つかる。馬の足と衣服のしわは細い線で刻まれ、遠景の空にも線の濃淡が残る。単色でも人々が混ざって見えにくくならず、人物ごとの輪郭が長い列を支えている。
制作背景
チョーサーの『カンタベリー物語』に登場する巡礼者を題材に、ブレイク自身の絵画から制作した1810年の銅版画である。掲載版はナショナル・ギャラリー所蔵の第4ステート、つまり版に修正を加えた第四段階の刷りである。詩と絵を同じ小さな版へ収める彩飾本とは違い、広い横長の面と細かな彫線によって、多人数の物語を展開している。
出典・画像について
画像:ウィリアム・ブレイク《カンタベリーの巡礼者たち》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
所蔵館の公開画像(CC0)。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
ブレイク詩集(対訳)
ウィリアム・ブレイク 著/松島正一 編 / 岩波書店
代表詩を原文と日本語訳で読み、ブレイクの絵と切り離せない言葉と思想へ入るための一冊です。
楽天ブックスで見る →