雲の子どもと笛吹きが、詩と絵の世界への入口をつくる。
何が描かれているか
木々の間に立つ笛吹きが、雲に乗った子どもを見上げている。足元には羊が集まり、枝の曲線が二人を包む。子どもの小さな体は空中に浮かぶのに、大人は地面を踏んでいる。この上下の違いが、笛の音に応じて空から言葉が届くような、不思議な出会いを見せる。詩集『無垢の歌』の口絵である。
作品の見どころ
青い服と桃色の雲は、緑の森の中でよく目立つ。大人の顔、笛、子どもの広げた腕を順にたどると、二人の間を視線が行き来する。外側のつる草も、印刷された四角い画面を越えて原紙へ伸びている。人物だけでなく、葉や幹を囲む細い線にも注目したい。小さな紙面が、草木の動きで広く感じられる。
制作背景
原版は1789年に作られたが、掲載した本は1825年頃に印刷されたコピーYである。銅板の浮き出た部分から刷るレリーフ・エッチングに、水彩と金の絵具を使った手彩色を重ねている。同じ版でも彩色によって見た目は変わる。ここに見える濃い色は、晩年の印刷本の姿として見ておきたい。
作品情報
材質・技法
レリーフ・エッチングに水彩と金の絵具による手彩色
出典・画像について
画像:ウィリアム・ブレイク《『無垢の歌』口絵》/Metropolitan Museum of Art
所蔵館の公開画像(CC0)。 作品外の撮影台・台紙を透過。原紙・絵・文字は保持。
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