何が描かれているか
鱗に覆われた筋肉質の怪物が、空の杯を持って赤い幕の前を歩く。
小さな画面の周囲には金色の星が並び、怪物を舞台上の役者のように囲む。怪物は横向きに進みながら顔だけを手前へ向け、舌を伸ばす。片手の杯ともう一方の下げた手、曲げた膝が異なる方向へ動き、小さな画面に落ち着かない姿勢を作る。
作品の見どころ
蚤という小さな生物を巨大な人体へ変えることで、隠れた欲望を見える姿にする。
光沢のある皮膚、舌、爪、杯といった細部が、滑稽さと不気味さを同時に生む。暗い背景に金の星と赤い幕が浮かび、鱗のある身体には細い光が沿う。外周の装飾まで見ると、幻の存在を額の内側の小さな舞台へ閉じ込めた構成が分かる。
制作背景
占星術師で画家のジョン・ヴァーリーと幻視について語った時期、1819〜1820年頃に制作された。
ブレイクは蚤の霊が現れたという話をもとにしたが、これは科学的記録ではなく、彼の幻視的な制作方法を伝える逸話である。ヴァーリーとの会話に基づく逸話は、実在する生物の姿を記録したという意味ではない。ブレイクが幻視を創作の材料とし、目に見えない性質へ身体を与えた例として区別して読む。
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