善と悪の天使
画家 ウィリアム・ブレイク →The Good and Evil Angels Struggling for Possession of a Child / テート・ブリテン
子どもをめぐる二人の天使の力比べに、相反する心の働きを重ねる。
何が描かれているか
明るい翼を持つ人物が子どもを抱え、炎を背負う黒い翼の人物がその腕を引く。
二人の大人は同じ画面で向き合うが、身体の色と翼の方向が対照的である。明るい人物は片脚を上げて子どもを胸元へ抱き、暗い人物は横から腕を伸ばす。二人の翼と脚は画面の四方へ広がり、中央の小さな身体へ力が集中している。
作品の見どころ
善と悪を単純に離して置かず、腕と脚がからむ一つの力比べとして描く。
子どもの小さな身体が両者の境目にあるため、対立の危うさが具体的に感じられる。明るい肌と白い翼に対し、相手の身体は灰色に沈み、その背後には炎が立つ。互いの腕が交差する部分を見ると、色の対立だけでなく引き合う方向も読み取れる。
制作背景
1795年頃のカラー印刷で、1805年頃に加筆されたとされる。
題名は対立を示すが、ブレイクの作品では相反する力が互いを必要とするという考えも重要で、意味を一方だけに固定しにくい。題名の「善」「悪」は鑑賞の入口になるが、表情や身体だけから単純な勝敗は分からない。相反する力を組み合わせるブレイクの考えを踏まえつつ、子どもの行方は未決のまま示す。
出典・画像について
画像:William Blake《善と悪の天使》/善と悪の天使 — William Blake / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
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