1795年頃
37〜38歳頃

エニサーモンの喜びの夜(旧称ヘカテ)

画家 ウィリアム・ブレイク →
The Night of Enitharmon’s Joy (formerly called Hecate) / テート・ブリテン
人物、動物、岩を結ぶ夜の闇が、視線の行く先を変える。

何が描かれているか

黒い布をまとった女性が岩のそばに座り、その後ろにも裸の人物が重なっている。足元には大きな本が開かれ、上にはフクロウや飛ぶ生き物の姿が見える。人間だけを中心に見ると、周りに隠れた動物を見落としやすい。顔、羽、岩肌が暗い色の中から少しずつ浮かび、夜の空間に目を慣らすような眺め方を促す。

作品の見どころ

女性の白い肩と腕は、黒い衣服の輪郭りんかくをはっきりさせる。一方、動物や岩は、姿の境目が暗い背景へ溶け込む。手前の体は重く落ち着いているのに、上の小さな生き物は空を横切る。視線を上下へ動かすと、座るものと飛ぶもの、見えるものと隠れるものの違いが、静かな画面に落ち着かなさを加えているように感じられる。

制作背景

1795年頃のカラー印刷に、インク、テンペラ、水彩を加えた紙の作品である。テートの現行題名は《エニサーモンの喜びの夜》で、《ヘカテ》は旧称として併記される。題名が変わったことを知ると、一つの神話の名前だけで人物を判断せずに見ることができる。まずは神話の名前を当てはめる前に、画面で実際に結び付いている体や動物の位置を見たい。

作品情報

材質・技法
紙にカラー印刷、インク、テンペラ、水彩
所蔵
テート・ブリテン
目録番号
N05056

出典・画像について

画像:ウィリアム・ブレイク《エニサーモンの喜びの夜(旧称ヘカテ)》/Commons掲載の忠実な平面複製(撮影者記載なし)
画像の出典 / Public domain(個別PD表示) / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-28 確認)
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