『ヨブ記』ヨブを腫れ物で苦しめるサタン
画家 ウィリアム・ブレイク →Satan Smiting Job with Boils / メトロポリタン美術館
押さえつけられたヨブの体と、覆いかぶさるサタンが対立する。
何が描かれているか
ヨブは地面に横たわり、翼を持つサタンがその上から身を乗り出している。サタンの両腕は大きく開き、一方の手はヨブへ近づく。そばでは妻が顔を伏せ、背景の暗い空と岩が人物を取り囲む。立つ体と倒れた体を上下に重ねることで、苦しめる者と苦しめられる者の力の差が、言葉を読まなくても伝わる。
作品の見どころ
サタンの翼と脚は鋭く広がり、ヨブの体は低い横の線へ押し込められる。周囲の暗い彫線が濃いほど、二人の裸の体は白く目立つ。近くの妻は、サタンの大きな身振りに対して小さく縮む。外側の文字や縁飾りを含めて見ると、激しい中心の場面が、細い線で囲まれた一枚の紙の中へ封じ込められているように感じられる。
制作背景
旧約聖書『ヨブ記』で、サタンがヨブを腫れ物で苦しめる場面を描いた連作第6図である。掲載版はメトロポリタン美術館所蔵の銅版画で、1825〜1826年と記録される。水彩の準備作と、この彫線で刷った版画は同じ物ではない。ここでは肌、翼、雲を区別する線の密度に注目すると、色を加えずに人物の重さや苦痛を示す工夫を見つけられる。
出典・画像について
画像:ウィリアム・ブレイク《『ヨブ記』ヨブを腫れ物で苦しめるサタン》/Metropolitan Museum of Art
所蔵館の公開画像(CC0)。
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