1825〜1826年
67〜69歳頃

『ヨブ記』ヨブと家族

画家 ウィリアム・ブレイク →
Job and His Family / メトロポリタン美術館
使われていない楽器と祈る家族が、長い試練の始まりを示す。

何が描かれているか

大きな木の下にヨブと家族が集まり、開いた本を前に静かに座っている。手前には羊が横たわり、遠くには建物が見える。木からは楽器が下がるが、この場面では誰もそれを奏でていない。人物の列と動物の列が上下に重なり、風景の中に落ち着いたまとまりをつくる。後に続く激しい場面の前の、静かな始まりである。

作品の見どころ

中央の本と顔を見てから、枝に掛かった楽器へ目を移してみたい。画面下の銘文や、外側の草木を刻む細い線も、中心の家族を囲んでいる。絵だけで終わらず、文字と縁飾りが紙面全体に広がる点は、ブレイクの彩飾本にも通じる。光る空と木陰の細かな彫線を比べると、単色の版画はんがの中にも時間や明るさの違いを感じられる。

制作背景

『ヨブ記』挿さ絵の第1図で、掲載するメトロポリタン美術館の刷りは1825〜1826年と記録される。連作れんさくの銅版画は、画家ジョン・リネルが1823年に依頼した。旧約聖書のヨブが経験する苦難を、一連の図として読む仕事である。結末の《再び栄えるヨブと妻》で同じ家族が楽器を奏でる姿と比べると、二つの画面の違いが具体的に見えてくる。

作品情報

材質・技法
エングレーヴィング
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
17.17.1–1

出典・画像について

画像:ウィリアム・ブレイク《『ヨブ記』ヨブと家族》/Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-28 確認)
所蔵館の公開画像(CC0)。
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