子どもの問いと子羊の姿が、一枚のページで響き合う。
何が描かれているか
中央の詩をつる草が囲み、下では子どもが羊の群れに向き合っている。題名の「子羊」は、絵の中の動物であると同時に、詩の語りかけの相手でもある。詩は、誰が君を作ったのかと問い、子羊と呼ばれるキリストへ話をつなぐ。子ども、動物、神の名が、優しい呼びかけの言葉で結び付けられている。
作品の見どころ
上の青から下の緑へ、景色の色が文字の背後にも回り込む。文字の周りを枝が曲がり、いちばん下の場面へ目を導いている。羊の背中や子どもの腕の丸みも、植物の曲線とよくなじむ。絵と詩を別々に眺めるより、言葉の間を通る枝を追うと、ページ全体が一つの庭のように見えてくる。
制作背景
『無垢の歌』の原版は1789年に制作された。掲載画像は、1825年頃に刷られ、手で彩色されたコピーYの第8図である。茶色がかったオレンジの印刷線に、水彩と金の絵具が加わる。『経験の歌』の《虎》にも子羊を作った者への問いが登場する。二つを比べると、同じ創造の問いが、安心と畏れという違う響きを帯びる。
作品情報
材質・技法
レリーフ・エッチングに水彩と金の絵具による手彩色
出典・画像について
画像:ウィリアム・ブレイク《『無垢の歌』子羊》/Metropolitan Museum of Art
所蔵館の公開画像(CC0)。 作品外の撮影台・台紙を透過。原紙・絵・文字は保持。
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