1795年頃
38歳頃

慈悲

画家 ウィリアム・ブレイク
Pity / メトロポリタン美術館
『マクベス』の比喩を空飛ぶ人物と赤ん坊へ変え、言葉を一枚の幻へした。

何が描かれているか

横たわる女性の上を二頭の馬が駆け、一人の人物が赤ん坊を抱き上げる。
黒い夜空を白い身体と馬が横切り、長い髪と雨が流れる方向を強調する。女性は画面下で横向きに伸び、その上を二頭の馬と二人の人物が同じ方向へ進む。赤ん坊を差し出す腕、馬の脚、流れる髪が重なり、空中の一団を一つに結ぶ。

作品の見どころ

空を進む馬の水平な動きと、下で眠るような女性の静けさが大きく対照する。
言葉で書かれた比喩を説明図にせず、複数の身体が重なる夢のような光景へ変えている。白い馬と人物は暗い背景から浮かび、下の女性は土に近い色へ沈む。明暗の境目を追うと、上空の速い動きと地上の静止が二段に分けられている。

制作背景

シェイクスピア『マクベス』第1幕第7場で、慈悲が風に乗る幼子おさなごや天使にたとえられる一節から着想した。
1795年頃のカラー印刷で、版から刷った後にペン、インク、水彩で仕上げられた。メトロポリタン美術館は、シェイクスピアの複数の比喩をブレイクが一つの場面へ実体化したと説明する。劇中の出来事そのものではなく、言葉が呼び起こす像を組み合わせた作品である。

作品情報

材質・技法
カラー印刷、ペン、インク、水彩
所蔵
メトロポリタン美術館
着想
シェイクスピア『マクベス』

出典・画像について

画像:William Blake慈悲》/慈悲 — William Blake / William Shakespeare / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-12 確認)
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