『セルの書』標題ページ
画家 ウィリアム・ブレイク →The Book of Thel, Title Page (Plate 2) / イェール英国美術センター
題名の周りで育つ植物が、命の短さを問う物語を迎える。
何が描かれているか
大きく曲がる植物の下に、『セルの書』という題名が置かれている。細い茎は文字の間へ入り、下では女性と小さな人物、花の形が絡み合う。青い空と淡い草地の中に、赤茶色の線が軽く残る。本文を印刷したページではないが、題名も植物や人物と同じ曲線の世界にあり、文字自体が絵の一部になっている。
作品の見どころ
上の大きな弧から下の細い茎へ目を動かすと、一枚の紙の中に大小の異なる動きがある。題名の飾り文字はゆっくり広がり、下の人物と花は小さく密に集まる。この違いが、物語へ近づく前の静かな間をつくるように見える。文字を読んだあと、同じ線が枝や体の輪郭へどう続くかを確かめたい。
制作背景
1789年に原版が制作された彩飾本の標題ページで、イェール英国美術センターの所蔵本を掲載している。物語のセルは、消えていく命を嘆き、ユリや雲、虫、土と対話する。詩と絵を同じ版から刷り、水彩やペンで仕上げる本づくりの一例である。花の細さや淡い色は、命のはかなさを問う本文と一緒に見ると、違った表情を帯びる。
作品情報
材質・技法
茶色のレリーフ・エッチングに水彩、ペン、インク
出典・画像について
画像:ウィリアム・ブレイク《『セルの書』標題ページ》/Yale Center for British Art
所蔵館の公開画像(CC0)。
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