1794年原版/1825年頃印刷
原版制作時 36〜37歳頃

『経験の歌』虎

画家 ウィリアム・ブレイク →
Songs of Experience: The Tyger / メトロポリタン美術館
恐ろしい詩の言葉と、どこか穏やかな虎の姿を比べたい。

何が描かれているか

長い詩の下で、一頭の虎が横向きに立っている。縞模様の体はしっかり描かれるが、丸い目や口元には、激しく襲いかかる獣の表情はない。一方、詩は夜の森で燃える虎を呼び、恐ろしい力を誰が作ったのかと問い続ける。絵の親しみやすさと、言葉が呼び起こす畏れの間に、簡単には埋まらない距離がある。

作品の見どころ

右側の木は、細い画面を縦に貫きながら枝を文字へ伸ばしている。青、黄、赤茶色の小さな色面が、文字と幹の間で交互に現れる。虎の背から尾へ続く線を追ったあと、詩の繰り返しへ目を戻してみたい。どちらか一方をもう一方の説明にせず、言葉と絵が異なる調子を持つページとして読むことができる。

制作背景

1794年に原版を作った『経験の歌』の一篇で、掲載本は1825年頃に印刷・手彩色されたコピーYである。詩中には、子羊を作った者が虎も作ったのかという問いがある。先行する『無垢の歌』の《子羊》と並べると、世界を信頼する声と、創造の怖さを問い直す声を、文字だけでなく動物の姿からも比較できる。

作品情報

材質・技法
レリーフ・エッチングに水彩と金の絵具による手彩色
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
17.10.42
掲載本
コピーY(1825年頃の刷り)

出典・画像について

画像:ウィリアム・ブレイク《『経験の歌』虎》/Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-28 確認)
所蔵館の公開画像(CC0)。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

ブレイク詩集(対訳)
ウィリアム・ブレイク 著/松島正一 編 / 岩波書店
代表詩を原文と日本語訳で読み、ブレイクの絵と切り離せない言葉と思想へ入るための一冊です。
楽天ブックスで見る →