復讐の女神に追われる殺人者
画家 アルノルト・ベックリン →Ein Mörder, von Furien verfolgt / シャック・コレクション(ミュンヘン)
暗い野原で一人の男が逃げ、背後から女たちが追う。
何が描かれているか
暗い野原で一人の男が逃げ、背後から女たちが追う。題名のフューリは、罪を犯した人を追う復讐の女神を指す。静かな景色に突然、取り返しのつかない行為の記憶が入り込んだようだ。男と追う姿の間隔を見ると、走っても逃れられない緊張が伝わる。ここでの人物を実在の容疑者の肖像と考える必要はない。
作品の見どころ
横に長い画面では、人物たちが片側からもう片側へ動く。暗い雲と地面が広がる中、衣の色や手足の向きが視線を運ぶ。女神の姿は現実の人間に似ていても、物語の役割は超自然的である。風景の広さが逃げ道に見えるのに、追跡が終わりそうにない。その矛盾がこの絵の怖さを強めている。
制作背景
シャック・コレクションは1870年の油彩画と記録し、アルザスで起きた殺人の報道が制作のきっかけになったと説明する。画家は事件をそのまま再現するのではなく、古代神話の女神を登場させた。個別の事件から罪と報いという長い物語へ移した点が、単なる新聞挿絵との違いである。
出典・画像について
画像:Arnold Böcklin《復讐の女神に追われる殺人者》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
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