岩の上に立つ男は海を見つめ、少し離れた洞窟の前に女性が座る。
何が描かれているか
岩の上に立つ男は海を見つめ、少し離れた洞窟の前に女性が座る。ギリシアの叙事詩に登場するオデュッセウスと、彼を島に引き留めたカリュプソである。同じ場所にいながら二人の視線は合わない。遠くへ向かいたい人と、ここに留めたい人の距離が、会話よりはっきりと見える。
作品の見どころ
海は画面の左へ広がり、岩の暗い塊が二人を分ける。立つ男の体はほとんど影になり、座る女性の白い肌と赤い布が目立つ。視線を男から海へ動かすと、島の外にある世界を意識できる。女性へ戻ると、近いはずの二人が遠く感じられる。この構図が物語の緊張を生む。二人の間の黒い岩は、心の距離を見える形にしたようでもある。
制作背景
バーゼル美術館の解説は1882年の作品とし、オデュッセウスが故郷を思い、カリュプソの誘惑から離れたい場面として紹介する。古い物語の人物を説明し尽くすより、海を見る姿勢だけで望郷を示すところが印象的だ。文学の一場面を、沈黙した風景画として見せている。
出典・画像について
画像:Arnold Böcklin《オデュッセウスとカリュプソ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
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