何が描かれているか
岩に波がぶつかり、白い飛沫が広がる。暗い岩陰には人の姿があり、ただの海景とは違う不思議な場面になっている。ベルリンの所蔵館は、波の音を人の姿と楽器を通して表した寓意として説明する。題名の「波音」を、絵の中に何が見えるかと合わせて考えたい。
作品の見どころ
縦長の画面の上から下へ岩が続き、最も明るい部分はぶつかる波に集まる。見ている側の視線は、暗い人物から白い水へと移り、また影へ戻る。岩の硬さと水の崩れる形が対照的である。耳には聞こえない音を、波の激しさと人物のしぐさで想像させる構成になっている。水が岩に当たるところから、見えない音や波の強さを思い浮かべることができる。
制作背景
ベルリン旧国立美術館は1879年の油彩画として所蔵する。同館の解説は、画家が自然の音を寓意へ変えた点に注目する。ベックリンは森の笛や死のバイオリンも描いた。音を伴うはずの場面を静止した絵にすることが、この画家の繰り返し現れる関心だったと読み取れる。
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