赤い棚の線と果物の色が重なる、晩年の小さな静物画。
何が描かれているか
赤い横の線が画面を区切り、その中に果物のかごや器の形が現れます。黄、橙、緑が細かく重なり、物の輪郭が一度ではつかみにくい部分もあります。ニューヨーク近代美術館の現在の題名は《食器棚の果物かご》です。古い資料では《鏡に映った果物かご》と呼ばれていましたが、棚と鏡のどちらと見るかは、画面の読み方にも関わる違いです。
作品の見どころ
メトロポリタン美術館の図録は、赤い横棒を棚の構造として見直しています。したがって、ここでも果物が鏡に映っていると断定してはいません。赤い線と、下の器、明るい果物の色を比べてみましょう。線が区切る場所と色が集まる場所を見ると、曖昧な形が少しずつ現れ、静物の中にも見る時間の長さを感じられます。
制作背景
1944〜1946年頃の油彩画で、画面の周囲の明るい縁は、作者が残した未彩色のカンヴァスです。撮影時の不要な余白ではないため、掲載画像でも残しています。MoMAの回顧展解説は、この作品の縁を具体例に挙げています。《コーヒー》や《庭に面した食堂》と比べると、身近な器や果物への関心が晩年まで続き、小さな範囲でも複雑な色の関係を作ることが分かります。
出典・画像について
画像:ピエール・ボナール《食器棚の果物かご》/Pierre Bonnard / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示に基づく忠実な平面複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。 米国での原作品の公表・保護条件は独立には確定していません。 明るい縁は作者が残した未彩色カンヴァスで、作品の一部です。
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